行動経済学の成果のひとつに、現状維持バイアスというものがあります。現状維持バイアスとは、現状を変えることによって損失をこうむるよりは、現在の状態のままいることを選ぶ傾向のことです。
例えば、定食屋に行っていつも同じものを頼むとか、たばこの銘柄がいつも同じであるとか、新しい仕事のやり方に反対する、などです。
なぜこのようなことが起こるかは、同じく行動経済学のプロスペクト理論というのを学ぶ必要がありますが、ここでは割愛します。
簡単にいうと、人は取引などで得をすることよりも損をしないことのほうを重要視するので、いつもの定食屋でいつも頼むメニューを他のメニューに変えたり、たばこの銘柄を変えたりした場合にがっかりすることを恐れて、現状維持を選択するのです。
つまり、変化を選べば、良い状態に行く可能性もあり、悪い状態に行く可能性もありますが、損失を回避する傾向が強くはたらくため、現状維持を選ぶのです。
それでは、現状維持バイアスを打破して新しいものを売るにはどうしたらよいでしょうか。
それには、「損をしない」ことをアピールすることです。(「省エネ効果で〇年で投資が回収できる」、「壊れにくい」など。)
また、感情による判断ではなく、顧客が合理的な判断を出来るように導くことが必要です。(品質・性能が同等以上であることを示してブランドスイッチを促すなど。)